今日の掘り下げ #016


私は、愛を未来へ届けるために書いていた

子どもの頃、私は書くことが好きではありませんでした。

作文も苦手。

読書感想文も苦手。

だから、自分がこんなに書く人になるなんて思ってもいませんでした。

転機は結婚でした。

妊娠して仕事を休み、家にいる時間が増えた時、夫が

「ラジオを聴いてみたら?」

と言ってくれました。

そこから投稿を始めました。

自分の文章が読まれる喜び。

ポストを開けると景品が届く楽しみ。

その小さな成功体験が、書く楽しさを教えてくれました。

子どもが生まれてからは、自分の時間はほとんどありませんでした。

だから毎日、子どもたちが寝た後の一時間だけが私の時間でした。

家事を終え、静かになった部屋で、押し入れに背中を預け、床に座ってノートを開く。

あの一時間は、一日の中で唯一、自分に戻れる時間でした。

そして思い出しました。

小学生の頃、友達の家で見た、お母さんが作る「家庭新聞」。

私はその温かさに憧れ、

「結婚したら私も作りたい。」

そう思っていました。

結婚してから、その夢を叶えました。

家族新聞を書き、

交換日記を書き、

子育て記録を書き、

家計簿をつけました。

当時は「未来に残そう」と思っていたわけではありません。

ただ、その時その時を大切にしたくて書いていました。

でも三十年経った今、その意味が分かりました。

娘が母になった時、

同じ月齢の子育て記録を見せてあげられる。

息子にも、小さい頃の記録を渡せる。

孫にも、

「あなたのお母さんも、こんなふうに育ったんだよ。」

と伝えられる。

言葉は話せば消えてしまいます。

でも、書いた言葉は残ります。

何十年経っても、その時の気持ちを届けてくれます。

私は作品を書くために書いていたのではありませんでした。

未来の誰かが、

「お母さんも同じだったんだ。」

「おばあちゃんも、こんなことを感じていたんだ。」

そう思えるように。

安心してもらえるように。

書くことは、私にとって愛を未来へ届ける方法だったのです。


今日の気づき

私は文章を書く人になったのではない。

未来の誰かへ、愛を手渡すために書く人になったのだった。

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