今日の掘り下げ #010

私は、字を教えていたのではなく、人の人生を応援していた

習字教室を始めたきっかけは、とても現実的なものでした。

子どもが小さかったので、自宅でできる仕事を探していたのです。

学研教室を開きながら、「私にできることは何だろう」と考えた時、思い浮かんだのが習字でした。

最初はアパートで、生徒は2人。

私はまだ初段で、自信もありませんでした。

思うように級を上げられず、本部へ電話をかけて泣いたこともあります。

「どうやって教えたらいいのか分からないんです。」

そう話したことを、今でも覚えています。

それでも続けるうちに、私自身も学び続けました。

先生を変え、自分も八段まで取得し、教える力も少しずつ身についていきました。

気がつくと、生徒たちも成長し、高段位を取る子が増えていました。

卒業した生徒が、大人になって教室へ遊びに来てくれたり、自分の子どもを連れてきてくれたり。

「悦子先生、変わりませんね。」

そう声をかけてもらえるたびに、30年近く続けてきてよかったと思います。

でも、私が作っていたのは、習字を学ぶ場所だけではありませんでした。

クリスマス会やハロウィン、絵画コンクール、遠足…。

子どもたちが挑戦できる場所を作り、一人ひとりの良いところを見つけて褒めることを大切にしてきました。

コミュニティが始まってからは、大人も教室へ通うようになり、教室は世代を超えた居場所になっていきました。

今では、韓国旅行へ行ったり、食事へ出かけたり、笑い合ったり。

習字を通して、人生を一緒に歩く仲間が増えていきました。

今振り返ると、私は字を教えていただけではありません。

一人ひとりの人生を応援し、自信を育て、帰ってこられる居場所を作りながら、習字も教えていたのです。

だから私は、これからもこの教室を続けていきたいと思っています。

何歳になっても、

「ただいま。」

と言って帰ってこられる場所であり続けたいからです。

今日の気づき

私は習字を教えるためだけに教室を続けてきたのではない。

人が自信をつけ、人生を楽しめる居場所を育てながら、習字を教えるために教室を続けてきたのだった。

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