女性の一生 / お家起業 習字編 ⑤
女性の一生 / お家起業 習字編 ⑤
10畳から、18畳へ
「どうせ自分の部屋になるさ」と言われた教室を、理想の形にするまで
2007年 〜 2009年
育児が一段落し、教室も軌道に乗ってきたころ。私の胸には、ずっと抱えてきた一つの夢がありました。 新築のとき、諦めさせられた「理想の教室」を、いつか自分の手で実現すること。
この章も、当時の「教室だより」「家計簿」をたしかめながら、宝物スイッチの10段階に沿って振り返ります。 10畳から18畳へ——見くびられた夢を、自分の力で形にするまでの、数年の物語です。
その場にとどまる
理想を胸に、10畳の教室で
新築のとき、本当は18畳の教室を希望していました。 でも、「どうせ、自分の部屋になるさ」と言われ、実績もなかった私は、10畳で我慢することに。
教室は少しずつ生徒が増え、手狭になっていきました。 「いつか、18畳の教室をつくりたい」。その夢を胸に抱きながら、今できることを、続けていました。
ワクワクする
私にしかできない教室を
お金を貯めるには、生徒を増やす必要がある。生徒を増やすには、サービスしないといけない。 そこで考えました——「他の教室になくて、私にあるものは何か」。答えは、若さでした。
学童の先生みたいに、どんどんあちこちに出かけました。 ドッジボール、ボウリング、ビオスの丘、人形劇、クリスマス会。子どもたちと、全力で遊びました。 他の習字の先生はやらない。でも、若い私にはできる。しかも、1歳の息子や娘のためにもなるし、外遊びは育児にもなる。 そして何より——私も、楽しかったんです。
夢中になる
子どもたちの笑顔が、一番の喜びに
毎月イベントを企画し、子どもたちと一緒に笑い、一緒に楽しみました。 教室だよりにも、「私も楽しかった」という言葉が、何度も書かれています。
気が付けば、私は習字を教えるだけではなく、子どもたちの「居場所」をつくることに、夢中になっていました。 「また来たい」と思える教室。その手ごたえが、何よりの喜びでした。
繰り返す・工夫する
夢中を、仕組みに変える
イベントをするだけでは、終わりませんでした。 毎回、良かったこと、反省点、次はどうするかを書き続け——教室だより、宿題管理、進級の工夫、保護者との連携。
教室が自然に回る仕組みを、少しずつ作っていきました。 一度きりの楽しさで終わらせず、何度も繰り返し、改善する。その積み重ねが、教室の土台になっていきました。
新しいイメージが生まれる
教室が、地域に根づいていく
口コミで生徒が増え、教室は少しずつ、地域に認められていきました。 英会話教室も始まり、教室そのものが、一つの「かたち」へと成長していきます。
「私の教室」が、「地域の教室」へ変わっていく。 自分ひとりのものだった小さな教室が、いつのまにか、みんなの場所になっていく——そんな新しい景色が、見えてきました。
いろんな角度から磨く
もっと教えられる先生になりたい
教室が大きくなっても、私は学ぶことをやめませんでした。 高段位の試験は、内地でしか受けられません。だから、一泊二日で通い、高段位に挑戦しました。教える技術を、磨き続けたのです。
思えば、ずっと昔——家を建ててすぐのころは、三級から先へ、なかなか生徒を進級させることができず、本部へ泣きながら電話したこともありました。 あの悔しさがあったから、「もっと成長したい」という思いは、誰よりも強かったのです。
自信になる
積み重ねが、自分を変えた
高段位を取得し、「私でも、教えられる」という自信が生まれました。
子どもたちを育てることも、自分自身を育てることも、少しずつ、形になっていく。 積み重ねてきたものが、確かな自信となって、私を変えていきました。
軸が立つ
私らしい教室が、完成する
イベントだけではない。習字だけでもない。 子どもの成長を応援する。保護者も安心できる。そんな「美里習字教室らしさ」が、出来上がっていきました。
教室の理念や方向性が固まり、ブレない軸が育っていく。 「私の教室は、こういう教室だ」——そう言い切れる自分に、なっていきました。
形にする
目標だった100万円を貯める
結婚したとき、私は100万円の借金を抱えていました。 だから「100万円」は、私にとって、特別な数字でした。
教室を続け、生徒が増え、毎月20万円以上の収入を得られるようになり——夢だった増築資金、100万円を貯めることができました。 借金を抱えて結婚した私が、自分の力で、100万円を貯められた。この経験が、「私にもできる」という、大きな自信になりました。
自分のものになる
2009年4月・18畳の夢が現実に
新築のときに諦めた、18畳の教室。 駐車場を二つから一つに減らし、トイレを設置し、水回りも移して——貯めた100万円で増築し、ついに、理想だった18畳の教室が完成しました。
「どうせ、自分の部屋になるさ」。あの日の言葉は、もう、私を縛ることはありませんでした。 10畳から始まった教室は、私の成長とともに、18畳へと広がったのです。
10畳から、18畳へ
「どうせ、自分の部屋になるさ」と言われて始まった、10畳の教室。 借金を抱えて結婚した私が、続けて、稼いで、貯めて——あの日見くびられた夢を、自分の手で、理想の形にしました。
——見くびられた夢を、自分の力で形にできたことが、何より大きな宝物でした。

